ニキビのレーザー治療と経過・効果
ニキビやニキビ跡を皮膚科で治療する場合、保険診療などでの薬の処方によるもののほかに、自費診療でのレーザーによる治療方法があります。
レーザー治療はその多くが、レーザーによって肌に傷をつけて、その傷を回復させようという体の働きを利用することでニキビやにきび跡の治療を行うというものですが、使用するレーザーの種類によってその治療経過は若干異なります。
肌に微細な穴をたくさん作るタイプのレーザー
まず一つ目のレーザー治療方法が、フラクセルとよばれるレーザーが代表的な「肌に小さい(0.1ミリ程度)の穴をたくさん開ける方法」によるにきび・ニキビ跡の治療方法です。
この治療方法では、まずレーザーのあたった部分が目に見えない小さな傷となるだけですので、照射直後は肌に赤みが出る程度で、治療の痛みなどもほとんどありません。
レーザー照射治療後は1週間程度で赤みがおさまり、照射した部分がかさぶたのようになったり、皮が剥けてきたりという状態になってきます。
この時、肌は入れ替わりのための新しい肌細胞が作られている状態ですので、かさぶたや皮を無理にはがさないようにしましょう。はがしてしまうと肌が紫外線などによるダメージを受けやすくなってしまいます。
そこからさらに1週間程度すると肌の再生が完了し、新しい肌に生まれ変わる状態となります。
肌に穴を開けてにきび治療を行うレーザーの種類と違い
このタイプのにきび治療レーザーは、肌の浅い部分に光を当てるタイプのもの(IPL等)と、肌の深い部分、真皮層にまで穴を開けるタイプ(フラクセル等)の2種類があります。
浅い部分に光を当てる治療の方が肌表面の入れ替えは早く、今できてしまっているニキビや広範囲の治療などではこちらが効果的なのに対し、クレーター状になってしまっているニキビ跡に対しては真皮層部分でのコラーゲン生成を促すため、肌の深い部分に作用するような治療方法が効果的です。
治療後の経過はどちらも同じような流れですが、目に見える改善という部分では浅い部分へのレーザー治療の方が早く出てくるといえます。
ただし、どちらの方法でも満足できるレベルまでニキビやニキビ跡を解消するためには繰り返しの治療が必要で、2週間程度の感覚で十数回は繰り返す必要がある場合が多いようです。
体質などによって治療方法には向き不向きもありますので、何度繰り返しても効果を十分に感じられない場合はほかの治療方法を検討したほうがいいかもしれません。
肌表面を削るタイプのレーザー治療
2つ目のレーザーによるニキビ、ニキビ跡の治療方法は、炭酸ガスレーザーやサイトンレーザー等によってにきびやクレーターのある部分の肌を表面から削り、凹凸をなくした上で肌の再生を待つ方法です。
このレーザー治療方法は強制的に肌をフラットな状態にしますので、治療の効果としてはかなりわかりやすいのですが、治療の痛みや治療直後に出血状態になるというデメリットがあります。
治療後は肌が削られていますので、炎症を抑える薬の塗布を行った上でガーゼによる保護を行い、肌が再生されてくるまで数日間はその状態で過ごす必要があります。
その後、範囲の広さにもよりますが数ヶ月間の間で徐々に肌の赤みが落ち着き、半年ほどで毛細血管など肌組織の再生が行われていきます。
その後はニキビ跡が無い正常な肌の状態での新陳代謝が行われるため、1回の治療でニキビ、ニキビ跡の悩みを大幅に改善することが出来ることが、この治療方法の利点です。
ただし、赤みがひいても完全に肌のダメージが無くなるまでには長くて数年程度の期間が必要となり、その間は飲酒などによって赤みが出やすくなるといったような副作用もあるようです。
また、レーザー照射後の経過では肌組織が回復している場所とまだ回復していない場所が出てくるため肌に凹凸が出てきたり、治療直後のダメージが大きくケロイド気味になったりするといった問題も発生する場合があり、治療には医師の技術や適切な診察を行う知識、そして信頼関係も重要となってきます。
照射からしばらくは傷跡や赤みをカバーするためにガーゼ、マスクが必要になる事と、完全に落ち着くまでの期間が長いというデメリットはありますが、効果が確実であり、1年以内に悩みをほぼ解消できるという点では良い治療方法ではないでしょうか。
レーザーによるニキビ治療の経過を良くするために
レーザー治療でニキビやニキビ跡を治す場合、以上のような経過をたどるのですが、そのどちらもに共通しているのは「人間の再生能力を利用している」という部分です。
レーザーは直接的に肌の再生やコラーゲン生成を行うものではなく、あくまでも人体にもともと備わった再生能力、代謝能力を刺激することで効果を発揮しますので、レーザー治療を行う際にはどうすればこの再生能力を最大限活用できるかという点が治療の結果を左右します。
最大限にきび治療の経過を良いものにするためには、肌の再生に必要なたんぱく質やビタミン、亜鉛などのミネラル分といった栄養素を十分に摂取することが一つ。
そして、十分な睡眠など肌の再生に必要な成長ホルモンの分泌を促す、規則正しい生活習慣を保つ事も重要です。
クレーターや肌表面を削る治療は根本的ににきびの状態をリセットするものではありますが、基本的にレーザーによるにきび治療はニキビを解消するための強力な後押しをするものであって、食生活や生活スタイルなど基本的な「ニキビを改善させる」ための努力は必要であるという事を忘れないようにして、治療効果を最大限に発揮できるようにしましょう。
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