ダイエットでよく聞く「褐色脂肪細胞」とは何か？

現代の社会生活の中で大きな健康問題となりつつある肥満。
肥満に関連するのが体脂肪ですが、一般的に肥満につながる脂肪と言われるのは「白色脂肪細胞」というものです。
皮下脂肪や内臓脂肪でおなじみのこの白いブヨブヨした物体とは別に、人体には「褐色脂肪細胞」が存在しています。

褐色脂肪細胞と脂肪の燃焼

脂肪という名前とは裏腹に、実は脂肪を燃焼させる事に深く関係のある褐色脂肪細胞。
体中に蓄えられる白色脂肪細胞とは違い、この褐色脂肪細胞はごく限られた部分にのみ存在し、肩甲骨周辺、鎖骨付近に多くある事が知られています。
しかしながら、この褐色脂肪細胞が脂肪の燃焼に有効に働く条件は実はまだよくわかっておらず、生命の危機に瀕した時に燃焼の働きをするとも言われています。
よくダイエットで紹介される「肩甲骨を動かす」程度の運動では、実はあまり褐色脂肪細胞が脂肪の燃焼に有効な働きをするとはいえないのです。

年をとると無くなってしまう？

また、この褐色脂肪細胞は人間では新生児（子供）の体には多く存在するものの、加齢とともに減少します。そのためこの細胞を積極的に研究しようという動きは近年まであまり見られなかったという経緯があり、４０代以上の男性にはこの細胞はほとんど存在しません。
女性には加齢とともに減少するものの、数十グラムという少量ではあるものの大人になっても存在していることが分かっていますが、それでもやはり成長とともに減少してしまうためごくわずかな量であるといえます。

褐色脂肪細胞に似た、脂肪を燃焼する脂肪細胞

近年の研究で、褐色と白色の中間的な色をし、働きも褐色脂肪細胞に似た脂肪細胞、ベージュ細胞（ブライト細胞）と呼ばれる細胞の存在が分かってきました。
このベージュ細胞は白色脂肪細胞が運動によって出るホルモンの働きで褐色脂肪細胞のような働きを持つ細胞に変化するというもので、ある一定の刺激、例えば寒冷刺激や運動などによるノルアドレナリン刺激などによって活性化されて褐色脂肪細胞のように脂肪を燃焼させ、熱を生み出す働きを持つといわれています。

運動で脂肪を燃やすには、ベージュ細胞への働きかけが効果的

先述のように褐色脂肪細胞は４０代以降の男性にはほとんど無く、女性でもごく少量しか存在しません。
そのため、褐色脂肪細胞の働きを高めてダイエット効果が得られるのは、ある程度若い年代層だけになってしまいます。
更に言えば、褐色脂肪細胞の働きを高める方法がまだあまりわかっていないため、褐色脂肪細胞を有効活用してダイエットをしようというのは、実はかなり難しいといえます。

それではどうすればいいのかというと、効果的に脂肪を燃やすためにはベージュ細胞へと働きかける事が必要なのです。
ベージュ細胞は褐色脂肪細胞のように特定の場所に多く存在するわけではなく、白色脂肪細胞、つまり贅肉の中に点在する形で存在しているといわれています。そのため「肩甲骨ダイエット」のように一部を動かすだけの運動では十分に有効活用できず、結局は全身運動や、寒冷刺激などを与える事が重要となってきます。

また、運動をすることによって白色脂肪細胞からベージュ細胞が作られるため、やはり運動による刺激は重要であるといえます。

最近ではさらにこのベージュ細胞の研究も進められており、将来的にはこのベージュ細胞をより簡単に増やす方法などが作り出されるかもしれませんが、現状ではやはり運動が一番重要なのかもしれません。