脱毛クリーム（除毛クリーム）の効果と肌への影響・負担

むだ毛の処理方法として、手軽かつ持続する方法のため人気がある脱毛・除毛クリームですが、その効果や肌への影響・負担はどの程度のものなのでしょうか。

脱毛の有効成分「チオグリコール酸カルシウム」

脱毛・除毛クリームとして市販されている商品のほとんどは、チオグリコール酸カルシウムという成分の効果によって脱毛効果を発揮しています。
この「チオグリコール酸」とは簡単に言えば毛の成分を壊す成分。
詳しく言えば、毛を構成する「ケラチンタンパク質」というものは「シスチン」と呼ばれるアミノ酸で固く結合されているのですが、チオグリコール酸はこのシスチンを破壊する効果を持っているため、毛の成分を集中的に破壊する事が出来るのです。
チオグリコール酸は単体では強い酸性の性質で肌に刺激・ダメージとなるため、これをアルカリ性の物質であるカルシウムで中和させたものがチオグリコール酸カルシウムで、他にも「チオグリコール酸アンモニウム」というものが美容院で利用されるパーマ液などに利用されています。パーマ液で利用される際もやはり、髪の毛の成分を破壊して弱める効果によって髪の毛のくしゃくしゃ加減を作り出しています。

ちなみに、脱毛クリームの独特な臭いはこのチオグリコール酸由来のものであり、脱毛クリームとパーマ液の臭いが似ているのはこのためです。

脱毛・除毛クリームの効果は「永久」ではない

上記のように、脱毛クリームの効果はあくまでもチオグリコール酸の効果によって毛の成分を溶かしているだけですので、医療レーザー脱毛のように毛根の細胞を破壊する効果はありません。
そのため、脱毛クリームは毛を溶かして処理する事は出来ますが、どれだけやっても毛が細くなっていったり、毛が生えなくなるというような「永久脱毛」の効果を発揮することはないものだといえます。

脱毛クリームによる処理を行った場合、毛を剃るのとは違い毛穴の内部まで毛を溶かす効果はあるため1週間程度の間は毛が生えてくる事はありませんが、ある程度の期間を経過したら再度新しい毛が生えてくるため、脱毛クリームで毛を処理する場合は剃毛と同様定期的な処理が必要になります。

脱毛クリームの肌への影響や負担

脱毛クリームの主要な成分であるチオグリコール酸カルシウムは、前述のとおり単体で毛を溶かす性質を持っているのですが、多くの脱毛クリームではこれにさらに効果を強めるためアルカリ性の物質が配合されていたりします。
そのため、脱毛クリームの多くは少し強めのアルカリ性の性質をもっているのですが、アルカリ性の物質は肌のタンパク質を溶かす性質を持つため、これが肌への負担・ダメージとなる場合があります。

とはいっても、クリームを使用する時間はかなり短めであることや、肌を保護するための成分も多く配合されている事から、カミソリで脱毛をする際よりかは肌への負担は弱いといえるのではないでしょうか。

ただし、肌の弱い人などの場合はアレルギー反応などによって肌荒れを引き起こす可能性もあるため、脱毛クリームを使用する場合は必ず少量でのテストなどを行ってから使用するようにした方が安全でしょう。

正しくは「除毛クリーム」

余談となりますが、一般的によく用いられる「脱毛」という言葉は、たとえば「医療脱毛」や「円形脱毛症」などのように主に「毛が生えてこなくなる」という意味で用いられる言葉であるため、上記のようにあくまでも一時的に毛を取り除くだけの効果であるクリームの場合は「脱毛クリーム」ではなく「除毛クリーム」というような表現となります。
これは薬事法にも定められており、薬事法での表記は「除毛剤」となっているため、商品の分類などにも除毛剤として記載されており、脱毛クリームという表記で販売されているものは基本的にありません。
脱毛という言葉を使う事によって「毛が生えなくなる」や「毛が細くなる」というような認識を持たせるためか、宣伝などで脱毛クリームという表記がよく見られるために一般的に脱毛クリームと呼ばれていますが、上記の通り、脱毛効果はないので、永久脱毛が目的であれば医療脱毛を利用する必要があります。